黄龍
■黄龍とは?
体の色は金色から黄色、土気色まで、表現の差があります。
基本全身は輝く黄色ですが、口の中や耳の中は燃えるような赤色をしているようです。
東洋の龍、特に中国では最高位であり長寿の龍で、
年老いた応龍がやがて黄龍になるとも。
東西南北を守護する、青龍、朱雀、白虎、玄武の長であり、中央の座に位置すると言われています。
中央の場所は皇帝の位置でもあり、皇帝の守護神に繋がっているわけですね。
それゆえ昔の中国では、皇帝の服や持ち物、周囲の装飾にしか、黄龍の絵を用いることはできなかったと伝えられています。
同様に5本指の龍も、皇帝の龍、とされていました。
中国ではとにかくめでたい、縁起が良いとされ、
黄龍が出現したことから、年号を黄龍に変えてしまったという話もあるほどです。
■青龍や応龍との違い
四神には同じ龍の青龍がいます。
東方の守護神であり、青であり春の属性を持ちます。
(一説では青春という言葉の由来になったとも)
体は青というより緑よりの色で、指の数は4本から3本と、黄龍と区別がされています。
とはいえ青龍も十分にめでたい龍であり、良い政治の元にやってくると言います。
応龍は翼を持つ龍。
頭と体は東洋龍ですが、大きな鳥の翼を生やしてるのが特徴です。
(今作では、コウモリのような翼の場合もある)
神話の中では水や雨雲を操り、乾季に悩む土地の治水に貢献したという話があります。
逆に飛び去ってしまうとその土地はひでりに悩むという、人々の生活に関わったとされる伝承があるようです。
■麒麟との入れ替わり
麒麟は馬または鹿の体に龍の頭を持ち、黄龍と同じく、主に体は黄色から金色。
中には五色の毛色を持つともいわれ、様々な色で描かれることがあります。
四神の中央に位置する黄龍ですが、最近では、中央の位置を麒麟とする説もあります。
これは、
中国の4神「青龍、朱雀、玄武、白虎」
と
四霊獣が「麒麟、鳳凰、霊亀、応龍」
との表現がごちゃまぜになっていることが原因とも。
※(上記の4神は陰陽五行説で生み出された存在で季節や属性などに由来。黄龍はこの5体目になり中央に位置する)
また、近年のゲームやアニメの作品では、
先に四神が「青龍、朱雀、玄武、白虎」がよく取り上げられて有名になってしまい、同じ龍がいることから黄龍が乗り遅れてしまった説もあります。
そこに麒麟が入り込んできたという話です。
麒麟の設定として、
徳の高い聖獣、絶対に生き物を踏まない、怒るとツノが生える(前を向く)などある事から、
キャラクター性としても、こちらの方が株があがったのかもしれません。
「麒麟も四霊獣(瑞獣)だし、縁起がいい」
「4神+黄龍だと、龍が2匹いるから、黄龍の代わりに麒麟と入れ替えよう」
という、現代の話に都合よく入れ替えられた、という話もあるわけです。
さらに日本では黄色の龍の伝承がほとんどないこと。
加えて近代の作品的には、黄龍=土属性、というのが足を引っ張っているかもしれません…。
ーーー余談話ーーー
作品によっては、金属性(金・属性)なるものもありますが、
五行では、黄金は土属性の金属、とややこしい事になっているため、
「結局、同じやん」ということになりそうです。
■ゲームや特撮シリーズにおける黄色/金色の龍
グランブルーファンタジーに「黄龍」というボスがいますが、
見た目の姿はまんま「麒麟」となっています。どうしてこうなった。
割と再現度が高いのが女神転生シリーズでしょうか。コウリュウの名前で黄龍が登場。
特撮シリーズの黄色/金色のドラゴンとしては映画・ゴジラに登場するキングギドラがいますね。
3本の頭を持ち、龍とは似ても似つかない体ですが、顔はちょっとだけ東洋龍を感じます。
スーパー戦隊に登場する金色の龍としては、
ゲキレンジャーに登場したロン/無限龍、がいます。
こちらも龍というより、他頭龍にちかく、ヤマタノオロチのような外見です。
龍自体のモチーフはすでに、ダイレンジャーに登場していたため、このような形になったのかもしれません。
なかなか東洋龍としての「黄龍」そのものとしてのモチーフは少なく、特撮界隈では、さらに大御所に色を取られてしまっているため、今後の登場も不安という・・・。
やや不憫な扱いとなっています。
こちらの話はあくまで推測です。
どちらにしろ黄龍も麒麟も、とても地位が高い聖獣であることは間違いありません。
それではまた!