メガテリウム/絶滅動物

絶滅した大型の動物、メガテリウムのイラストです。

ナマケモノの仲間ですが、大きさはアフリカゾウぐらいあったと言われ、当時も最大級・重量級の陸上生物でした。

メガテリウムとは

名前:メガテリウム/Megatherium
名前の意味:大きな獣

全高:4m
全長:5~6m(頭から尻尾までの長さ)

重さ:3~5トン

化石発見地域:アルゼンチン、ウルグアイなど。南米大陸。
      最初の化石は1788年、マヌエル・トーレス氏がアルゼンチンで発見。

生きていた時代:約500万年前〜1万年前
   (新生代新第三紀前期鮮新世 – 第四紀完新世)

特徴:現代のナマケモノと同じように鋭くて長いツメを持つ。

   食性は草食性。
   長いツメで高い樹木の枝を引き寄せて、葉っぱや実を食べていたと想定されている。
   また長いツメは地面を掘ることもでき、球根なども容易に食べることができた。

現代のゾウと同じぐらいの大きさと体重で、この時代では最大クラスの陸上生物の一種とされています。
(他にも巨大な哺乳類として、パラケラテリウムがいるが、こちらは3500万年前の生き物)

現在の動物と大きさの比較としては、
上野動物園で見られるアジアゾウ(オス)が近いかもしれません。
ただアジアゾウは高さが約2.5~3mに対し、
メガテリウムは後ろ足で立ち上がると4mに達したと言われるので、迫力はもっとあったかもしれません。

上野動物園はゾウを計測した際のサイズを一般公開されているので、見てみるのもいいかもしれませんね。

メガテリウムの生態

メガテリウムと現代のナマケモノ、同じ仲間と言われても、生態は大きくことなります。

まずメガテリウムは体が大きすぎて、木に登ることはできず、地上をゆっくり歩いていました。

そして長く太い尻尾があったので二本足で立ち上がることが可能でした。

天敵には肉食動物のサーベルタイガー、スミロドン、などがいます。

主にメガテリウムの子供はこれら肉食獣に捕食されていたようですが、
メガテリウムの生息数への影響はなかったようです。

動きが鈍いメガテリウムが、するどいツメだけで抵抗できていたかは、少し不思議です。

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現代のナマケモノは長い毛の中にたくさんの細菌やばい菌を持ち、
ナマケモノ自身は平気だけど、他の生物にとっては有害になるという説があります。

沢山の細菌と共存することでナマケモノの生存に有利に働いているというわけですね。

もしかしたらメガテリウムも大人になると、
長い毛が防寒具だけでなく、身を守る術として働いていたかもしれません。

ただし、メガテリウムに毛があったかどうかは実はわかっていません。

もしかしたら象やサイのような皮膚や見た目だった可能性もあります。

もしもサイのような分厚い皮膚だったら、それはそれで生き残るのに役に立ったでしょう。

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食性は植物や木の実。

鋭いツメは地面も掘ることができたと思われますが、
他の動物が届かない位置の木や葉っぱ、果実を独占できたことは、
体を大きくするにも有利だったことでしょう。

またこの時代、植物もさまざまに進化していたようです。

実は食べられても、種は食べられまいと(種が潰されないように)、
硬く大きくなった植物もあったようで、
アボカドなどがその例だと言われています。

さらにはアボカドはこの時代でも格段にカロリーが高い食べ物。
メガテリウムの大好物だったことでしょう。

実際、メガテリウムはアボカドの種も余裕で丸呑みできるサイズでした。

そのため、この地域のアボカドとメガテリウムが共生関係にあったと言われています。

アボカドからもメガテリウムに食べてもらって、種を運んでもらうために、
あえて種を大きく、カロリーを貯めこむように進化したのかもしれません。

本来なら絶滅動物たちと共に消える運命でしたが、
食にうるさい人類(?)に見つけられたおかげで、現代にも残ることができたのかもしれません。

メガテリウムの絶滅理由を探る

・1つ目、気候変動&大陸変動

氷河期の終わりの気候変動や大地変動による自然の変化に対応できなくなったという説です。

鮮新世末に南北アメリカがパナマ地峡でつながり、北アメリカの動物たちが南アメリカに続々と入ってきたから、という説です。

そして気候変動は、体が大きく、繁殖率が低い生き物ほど影響を受けると言われます。

オオナマケモノも妊娠期間は長かったと言われ、1匹を生んで育てるのに時間がかかったと思われます。

直接的な要因ではないですが、次の理由と複合的に重なった可能性が高いです。

・2つ目、脳が小さかかったから。

絶滅した動物の研究で、
「体に対し、脳が大きいほど生き残り、脳が小さい動物ほど絶滅しやすかった」
という説があるようです(※1)

脳が小さいほど、環境の変化に対し、柔軟に適応するのが難しいという説です。

そもそも脳が小さかったら、環境の変化そのものにも気づかないかもしれません…。

現代でも、脳をあえて小さくして生き残っている動物、はいますが(オオアリクイ等)、
そこまで体が大きい種は残っていません。

・3つ目、人間による狩猟。

3つ目は大昔の人類に狩りまくられてしまったという説。

南北のアメリカがつながった時、動物と共に人類も南アメリカに進出しました。

動きが遅く、体が大きいメガテリウムは、当時の人類とって恰好の食料だったと思われます。

現時点では、人間のせいで絶滅した、というのが最も有力です。

肉食動物と人類の進出、気候変動…
いろんな悪条件が重なったと想像されます。

地上生のナマケモノは他にもいて、
南米大陸付近の島々にもいたと見られています(ただサイズはやや小さい)が、
これらも、4200万年前には全て絶滅したと言われています。

環境に恵まれ、巨体とパワーを手に入れたメガテリウムでしたが、
トドメをさしたのが人類だとしたら、なんとも言えないものがありますね…。

もし大陸がつながらなかったとしても、
離島に渡った、陸上性ナマケモノも絶滅していることから、生き残っていたかは謎です。

それではまた!

※1参考サイト:小型バスの大きさの「オオナマケモノ」、なぜ絶滅したのかhttps://japan.hani.co.kr/arti/culture/43047.html